はさみで切ることが苦手なこどもにできること  

保育園や幼稚園、小学校に入ると、紙を切ったり、貼ったりする紙工作の機会が増えます。はさみを使って紙を切るには、はさみを開閉する手指の動き、目と手の協調などが必要になります。はさみ使いが苦手なこどもをやさしくサポートするための工夫を紹介します。

1. はさみの開閉がスムーズにできない

手指には、「操作する」「固定する」という二つの動きがあり、これらを連携させることで、ものをつまんだり道具を使ったりすることができます。二つの動きの連携には、それぞれの指を独立して動かす「指の分離」が重要です。はさみを開閉させたり、握ったりするのが苦手なこどもには、指を独立して動かす遊びがおすすめです。特に、親指とそのほかの指の分離を促すポイントになるので、はさみに似た動きをする、洗濯ばさみを使った自家製おもちゃで楽しく練習してみましょう。丸く切った画用紙や紙皿にライオンの顔を描き、洗濯ばさみをたてがみに見立て、紙の縁に留めます。洗濯ばさみを留める部分に印をつけておくと、目と手の協調性も育まれます。また、大人が足を開いて、その間をこどもがハイハイでくぐる“ハイハイトンネル”も指の分離をスムーズに促す遊びです。ハイハイは、手のひらで自分の体を支えながら動くため、指の分離につながる腕や肘の動作も鍛えることができます。


2. はさみや紙を持つ手が固定できない

はさみや紙を持った手がぐらぐらして、うまく切り進められないこどもは、脇をしめて手首を固定することができていない場合があります。はさみを使う姿勢を保持するには、腕や肩といった身体の大きな筋肉を使う動き(粗大運動)を鍛える遊びを取り入れてみましょう。大人の足にこどもがしがみつき、大人が歩いても落とされないようにするコアラごっこや、大人がこどもの両足を持って進む手押し車がおすすめです。腕や肩の動きだけではなく体全体を使うので、粗大運動の習得に最適です。また、これらの遊びは運動だけではなく、人と触れ合うことの楽しさも実感することができます。


3. 切り取り線どおりに曲線や複雑な形が切れない

切り取り線をなぞって切るには、対象物を目で捉え、左右の手の動きと協調させることが必要です。「正中線」という体の中心を越えさせる動作が有効です。右手(左手)で正中線を越えて左側(右側)にある物を取る動作は、同時に左右の脳の協調を促します。そこで、床に座ったこどもの右側と左側におもちゃを置き、座ったまま右手で左のおもちゃを右へ、左手で右のおもちゃを左へ移動させる交換遊びは、年齢の低いこどもでもチャレンジできます。外遊びが好きなこどもなら、砂遊びで正中線を越えさせる遊びを取り入れましょう。座った場所の右側に穴を掘り、左側に山をつくるなどが有効です。

 

ほかにも、2㎝幅くらいの紙テープにガイド線を描き、はさみをつかってワンカットで切る練習や、市販のばね付きはさみを使用することもできます。はさみが苦手で、思う通りに扱えない状態で切る練習だけを重ねても、上達には至りません。こどもの発達段階に合わせて、必要な動作を促す遊び、楽しくサポートしましょう。


※各コラムでは、情報や内容について細心の注意を払っていますが、すべての方にあてはまるものではありません。 ご自身の判断のもと、あくまでも参考としてご利用ください。

PROFILE

おれんじ学園

訪問看護・介護予防訪問看護、児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅介護支援、就労移行支援、指定特定相談支援事業等を展開する他、療育自立支援用衣類等の企画・制作・販売としてハートブリッジプロジェクトを推進している株式会社東京リハビリテーションが運営する、児童発達支援・放課後等デイサービス。

長年培ってきたノウハウを療育に生かした「おれんじ学園」では、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、保育士が在籍し、一人ひとりに合った療育を行っている。おれんじ学園HP

 

メインアート作者/おがたりこ

1994年東京都世田谷区生まれ。幼少より絵を描きはじめ、2007年よりアート活動を開始。個展やグループ展などに出展した回数は30回以上。「ロバミュージアム2012」しりあがり寿 個人賞受賞、「ロバミュージアム2013」KIKI 個人賞受賞、「産経ニュース」「SANKEI EXPRESS」掲載、テレビ東京「HOPE for tomorrow」出演。多方面から熱い注目を集めているダウン症のアーティスト。発達のイッポでは、おがたりこさんの作品をメインアートでご紹介していきます。今回の作品タイトルは「ロバ」です。

イラストレーション/須山奈津希 取材・文/ズッコファミリア編集部

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