ぺんてる株式会社・茨城工場へ。職人の手でつくられる美しい色、人の目で確認される安全性。

こどもが工作したり絵を描いたりするときに欠かせない道具や画材。一体どんな所でどんなふうにつくられているか、考えたことはありませんか? そんなものづくりの現場に潜入する、特集「工場見学」。今回は、絵の具やサインペンでおなじみ「ぺんてる株式会社」の茨城工場を訪れました。

ぺんてる茨城工場は東京ドーム約2倍の広さ!

 

工場と聞いて何を思い浮かべますか? ガタンガタンと動く巨大な製造機械、ベルトコンベアーで運ばれて次々とつくられるたくさんの製品……。茨城県小美玉市にある「ぺんてる茨城工場」でも、もちろんベルトコンベアーや大きな機械がありますが、それだけではありません。広大な敷地にいくつも立ち並ぶ建物の中では、約400名もの人たちが働いています。絵の具などの画材をはじめ、サインペン、消しゴムなどをつくる工場で働く人たち、検査室で製品の検査をする人たち、あるいは、研究所で新しい商品を生み出すための研究開発に勤しむ人たちなど、その役割はさまざま。今回は、水彩絵の具「エフ水彩」の製造現場、製品の安全を守る「検査室」、こどものために生まれた画材「ゆびえのぐ」の開発チームの3つの現場をご紹介します。

 

あざやかで滑らかな「エフ水彩」ができるまで

 

それではまずは、こどもも大人も親しみ深い水彩絵の具「エフ水彩」の製造過程を紹介します。どのようなプロセス、こだわりを経て、あのなめらかで鮮やかな絵の具ができあがるのでしょうか。

 

1:原料を調合する


 

水彩絵の具の製造は、アラビアガム(樹脂)がドラムへ注ぎ込まれるところからスタート。アラビアガムは、水彩絵の具のベースとなる原料です。一定量のアラビアガムが入ると、そこへ色あざやかな粉末、顔料を投入します。ひとつの色の絵の具をつくるのには、3種類から4種類ほどの顔料が調合されます。

 

2:攪拌して滑らかに


 

調合されたアラビアガムと顔料は、まず、攪拌(かくはん)機で混ぜ合わされます。この段階ではまだねっとりとした状態。この「予備分散」は、次の工程をスムーズにするためのもの。


 

攪拌後、原料は幅2メートルもある巨大なロールミルにかけられます。粉末状の顔料は、3本のロールの間で丹念に磨りつぶされ、細かく細かくなり、滑らかであざやかな発色の絵の具になっていきます。エフ水彩のキモとなる大切な工程です。


 

この顔料の分散具合を調整するのは、熟練の職人。職人がローラーの締め加減をコントロールしながら絵の具の状態を細かく確認することで、ようやく水彩絵の具になっていきます。


 

各工程で使用したドラムは、実は、人の手で洗浄されているんです! ドラム缶に他の色が少しでも残っていると、次につくる色に影響が出てしまうので隅々までキレイに洗わねばなりません。でも、絵の具は粘度があるため、機械では細部まで洗い落とすのが難しいのだそう。上質な絵の具をつくりだすために、ここでも人の手が欠かせないのです。

 

3:ポリチューブへ充填する


 

絵の具のポリチューブは、絵の具が充填される前にシルクスクリーンでラベルが印刷されます。充填の都度、無地のチューブに印刷するのは、中身の生産に合わせて効率よく無駄なくチューブを用意できるから。刷り終えたラベルは、印刷強度を人の手でチェックします。


 

チューブに絵の具が充填されたら、最後に「重量」チェック。正しい量が充填されているもののみが選別、箱詰されていきます。絵の具のチューブは、色ごとにブルーのコンテナに詰め込まれます。この後、別の場所で12色セットや8色セットなど、組み合わせごとに専用のパッケージに詰められ、出荷されます。


 

「エフ水彩」のチューブは、2010年まで錫(すず)製の銀色のものが使用されていました。絵の具の漏れや廃棄後の環境汚染などを鑑みて、現在はプラスチック製に変更。新しいポリチューブはフタが一体型になっているので少ない力で絵具を出すことができ、こどもでもラクに搾り出すことができるようになりました。そんな時代と共に進化するぺんてる製品の歴史も、工場の中では展示されています。

 

さて、エフ水彩ができるまでの流れ、いかがでしたか? 工場での生産というと、人の姿はなく、機械だけで製造工程が進むのかと思っていましたが、実際に見学してわかったのは、そこに職人の経験と感性、感覚が必須であるということ。熟練の「人の手技」と専用に開発された「機械の力」が合わさることで、あざやかで滑らかなエフ水彩が生まれているのだとわかりました。

 

次のページでは、「安全性検査」と「商品企画チーム」をご紹介します。そこにも同じように、ぺんてるの誠実なものづくりへの姿勢を感じることができました。


 

  1. 1
  2. 2

写真/永峰拓也 取材・文/ズッコファミリア編集室

top

FOLLOW US

公式SNS