【インタビュー】ザリガニワークス武笠太郎さんが、娘たちとの遊びで取り戻したものとは?

「コレジャナイロボ」などユニークな玩具の企画開発をはじめ、幅広いコンテンツを発表しているザリガニワークス。その代表を務める武笠太郎さんは、5歳と3歳のお子さんのお父さんです。お仕事と同じくおもしろくて楽しいものづくりを通してこどもたちとコミュニケーションしている武笠さんにお話を聞きました。

「こどもが主体になる遊び」に気がつくまで

――武笠さんはものづくりのお仕事をされていますが、以前から何かをつくるお仕事をされていたんですか?

 

僕は現在、大学時代からの友人と二人で起こした会社「有限会社ザリガニワークス」でこどもや大人のための、おもちゃや雑貨、ガチャガチャなどの企画とデザインをする仕事をしています。前職がおもちゃメーカーの企画開発で、いわゆる大手玩具メーカーの受注生産(OEM)の担当もしていました。そのなかのひとつに男児向け玩具、おもちゃ業界用語で「男玩」というジャンルのおもちゃがありました。「男玩」には「バトル」と「カスタム」という要素が不可欠です。まずは何かと何かを対決させる構図をつくって、そこにカスタマイズの要素を入れ、なおかつ勝負の中に偶然性をもたせて小さい子でも勝てるようにするのが企画の基本でした。そして自分も当然のようにそれに倣って開発をしていました。


 

――玩具メーカーでの企画から、ザリガニワークスでの活動を通して、ご自身の職業がこどもとの遊びにも影響を与えていますか?

 

新婚旅行で西表島に行ったときのことですが、カヌーのツアーガイドを現地の方にお願いしました。僕がおもちゃの企画をしていると話すと、ガイドの方が「前に東京から旅行で来た家族がいて、両親は喜んで滝つぼに飛び込んでいたのに、こどもだけが僕のところに来て『もっと安全なところはないんですか?』って聞いてきたんですよ」と話してくれました。まあ、雑談の中のちょっとした笑い話なのですが、僕にはけっこうショックで。というのは、僕は仕事の中で、遊びの枠をつくることが遊びをつくることだと思っていたんですよ。大人として「ルール」をつくることが「遊び」をつくることだと思っていたけれど、それはすごい勘違いだったんだなと思い知らされた気がして。

 

それ以来、こどもを枠にはめない遊びとはなんだろうということを心がけ、こども主体の遊びを意識するようになったんです。そういった理由でプライベートでも、まずはこども発信で、まわりにいる大人が自由に対応できるようにしたいと思っています。こどもが言ったことになんでも対応して、その場まかせでやるのが僕としてもおもしろいんですよね。


ごっこ遊びの新しい参加のしかた

――武笠さんのおうちでは、親子でどんな感じで遊んでいますか?

 

上の子が2 歳くらいのころから“ごっこ遊び”をするようになって。僕も役を与えられるんだけど、何度も同じことを繰り返すのはけっこう退屈で(笑)。

僕は工作が好きなので、なにかものをつくったらおもしろいかなと思って、その辺にある段ボールで小物をつくって見せたら喜んでくれたんですよ。それ以来、ごっこ遊びの中で必要な小道具が出てきたときにこどもからオーダーされて、それに応えていくような感じです。


 

――つくっているとお父さんも楽しいし、お子さんも喜んでくれて一石二鳥ですね。

 

こどもってそのときに必要なものを、すぐにつくってほしいんですね。そのライブ感のようなものが僕にはおもしろくて。言われたらすぐにつくれるようにしておいて、オーダーされたらパッとつくって出すみたいな遊びです。たとえばお料理をするからフライパンをつくってと言われたら、ダンボールでパッとつくって、次はキャベツが必要だから紙をザクザク切ったものを渡すって感じで。まずはスピード重視。遅いとできあがったときにはもういらなくなっているなんてこともありますから。


 

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PROFILE
武笠 太郎 むかさ たろう

1973年、神奈川県藤沢市生まれ。多摩美術大学卒業後、玩具メーカーの企画を経て2004年独立。同年、大学時代からの友人である坂本嘉種と共に有限会社ザリガニワークスを設立し、玩具の企画開発をはじめ、さまざまなコンテンツを発表。最新作は、こどものためのビアマグ「BEER MUG FOR KIDS」と、中身を取り出したあとの空カプセルにパーツを接続して遊べる玩具「カプセルアドベンチャー」。 有限会社ザリガニワークスFacebookページ

INFORMATION
取材協力:篠原の里

廃校になった篠原小学校の校舎を再活用した複合施設。宿泊室や研修室、食堂では「里カフェ」(金曜日開店)あり、近隣のこどもたちが通う保育園も併設していて、にぎやかな声が聞こえてきます。校舎も校庭もなつかしく、里山の風景にとけ込んで和やかな気持ちになれる場所です。

NPO法人「篠原の里」Facebookページ

〒252-0186 神奈川県相模原市緑区牧野2881 番地

写真/袴田和彦 インタビュー・文/伊部玉紀

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