『だれでもかんたんおりおがみ』監修者、安部博志先生インタビュー

ピックアップで以前ご紹介した『だれでもかんたんおりがみ』。発達の途中段階にいるこどもや、発達が気になるこどもにとって難しい動作「折る」をサポートする画期的な折り紙です。この折り紙の開発にあたり、監修のひとりとして携わっていただいた、筑波大学附属大塚特別支援学校の安部博志先生にお話を伺いました。

『だれでもかんたんおりがみ』に込められた思い

安部博志先生は、特別支援学校の教諭のほか、専任の特別支援コーディネーターとして地域のこどもと保護者、教師の相談・支援を行われている発達の専門家です。これまでに10,000以上の保育園・幼稚園・小中学校の学級等を巡回されています。その現場で見てきたこどもたちの姿から、発達を支援するには、「折る」といった動作の練習が必要だと考えたのが『だれでもかんたんおりがみ 』のはじまりでした。


撮影/boco

 

安部先生(以下安部):発達途中のこどもが難しさを感じることに、折り紙、縄跳び、定規、コンパス、縦笛などがあります。特に折り紙は、保育園・幼稚園に入園すると、触れる機会がぐんと増える、馴染みの深いもの。でも、スッと折れちゃう子もいれば、どんなに一生懸命やっても、きれいに折るのが難しい子がいる。発達に悩みがある子は、折れないとすぐ支援されてしまう。他の人の手を介して折れてもこども自身の自己満足は低い。「できたね! 」ってほめられることが圧倒的に少ないんです。そんなこどもたちに、最低限の援助で、自分の力で折れるといいな、ほめられる機会が増えるといいな、という思いがずっとありました。

 

発達に悩みがある子でも折れる工夫は何だろうか、と考えていた安部先生。そんなおりに、巡回した幼稚園でちょうど折り紙をしているクラスを見る機会があったそうです。

 

安部:一人の子が、折り紙が折れずに苦戦していると、クラスの先生が自分で折ったものを途中まで開いて、「ここから折ってごらん」と渡したんです。これは、課題を分析して段階的(スモールステップ)にすることでハードルを下げ、本人に完成形に近いところから挑戦させる、まさしく正しい支援のやり方。これだ! と思った。こどもにとって折りやすく、指導する側の負担が省ける折り紙として、ミシン目で折り線をつけたらどうだろう? と思いついたんです。

 

「折り線部分をミシン目に」と考えた安部先生は、以前から交流のあった小峰さなえさん(東京リハビリテーションサービス)に相談し、試作を繰り返しました。そこに、ズッコファミリアも加わり、安部先生と東京リハビリテーションサービスの監修のもと支援のノウハウが工夫が詰まった『だれでもかんたんおりがみ 』が完成したのです。

 

安部:3者で打合せを重ねるうちに、当初はミシン目の折り紙のみを考えていましたが、スモールステップを取り入れて、「ミシン目」「折りすじ」「印刷のみ」の3ステップの折り紙になった。他にも小さなこどもや発達に悩みのあるこどもの”手がかり”になるようなポイントが次々追加されて、進化していった。この折り紙セットの中には、発達に悩みのあるこどもをサポートする工夫が詰まっている。より良いようにと改善を重ねて開発していくことは、今までになかった経験でした。

動作だけではなく、心のやりとりも支援する折り紙

発達を支援する先生として、改めてこの折り紙に安部先生はどんなことを感じているのでしょうか。

 

安部:まず、発達支援の道具は世の中にいろいろあります。でも、一連の動作で完成品がつくれる教材というのはほとんどありません。この『だれでもかんたんおりがみ』は、動作を支援し、さらにその一連の動作で完成品がつくれる。そして、そのつくったものをプレゼントできる、というのが最大の特長です。不器用な子、発達に悩みがある子は、援助を受けることが多いんですね。与えられることが多いのに、返す機会がなかなかない。でもこの折り紙だったら、完成品をプレゼントできる。そんな人と人の心のやりとりが生まれる教材というのを私は見たことがありません。

一人一人に合わせた支援の進めかた

発達障害のあるこども、発達に悩みのあるこどもの数は、年々増加しています。家庭や学校で『だれでもかんたんおりがみ 』をどう使ってもらえばいいのか。安部先生は言います。

 

安部:おうちで使うときは、まずはミシン目加工の折り紙の折り順①から折らせます。そこから折れるようだったら、そのまま進めましょう。もし、①を折るのが難しい場合、保護者が少し折ってあげる。例えば③まで折ってあげて④をこどもに折らせる、というように、ゴールに近いところから始めることが大切です。ミシン目が簡単に折れるようだったら、折りすじ加工の折り紙に挑戦しましょう。園や学校で使う場合は「合理的配慮」として、ぜひ活用して欲しいですね。クラスみんなで折り紙をするときに、発達に悩みのある子にはこの折り紙を渡してあげる。または、折れる子には『だれでもかんたんおりがみ 』の印刷のみの折り紙を渡し、折れない子にはミシン目加工の折り紙を渡してあげる。色は違うけど、折れた完成品は同じです。

 

 

こども一人一人の発達に合わせて支援できる『だれもでかんたんおりがみ』。支援される側と支援する側、どちらにも使いやすい工夫が詰まった折り紙です。

PROFILE

安部博志 あんべひろし 

筑波大学附属大塚特別支援学校 主幹教諭 専任の特別支援コーディネーターとして地域のこどもと保護者、教師の相談・支援活動にあたっている。これまで巡回した園や小中学校は1万を超える。特別支援教育士(LD・ADHD等)、学校心理士。著書に『使ってみたら、「できる」が増えた 発達障害の子のための「すごい道具」』(小学館)など多数。

INFORMATION

「だれでもかんたんおりがみ」

サイズ:150㎜×150

内容:折り紙45枚セット(どうぶつの種類 ねこ3色、うさぎ3色、とり3)

各どうぶつに ミシン目折り紙各5枚、折りすじ折り紙各5枚、折り線印刷各5枚をセット

付属品:説明書

監修:筑波大学附属大塚特別支援学校 安部博志教諭、株式会社東京リハビリテーションサービス

企画・販売:株式会社美術出版エデュケーショナル

価格:720+

ISBN:978-4-938242-50-3

販売場所:

■全国の書店 850店舗にて販売(紀伊国屋、三省堂、丸善、ブックファースト等)

教育書、育児書、児童書売り場などで展開。お近くの書店でも注文可。

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写真・文/ズッコファミリア編集部

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